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スロージャークの可能性|テクニカルノート

私はあらゆるルアーフィッシングの中で、釣方としてはジギングが一番面白いと
思っている。この面白さを伝えるべく誰かに勧めると、「しんどいやろ?あの釣りは?」てな答えが帰ってくることがままある。
悲しいかな私の同年代には(言いたかないけど40代)未だそういう考え方の人も多いようだ。
そこでスロージャークで魚を釣るためにはどうすればいいか考えてみよう。
何も楽をしたいからばかりではなく、真剣に考えてみるとこのメソッドには様々な可能性があることが解るはずだから…。
頁の関係上、長々と語るわけにもいかないので、結論から言ってしまうと「スロージャークでも対象魚全てが釣れる」のである。私自身おおよそ全てのジギング対象魚をスロージャークで釣った経験がある。その中には高速回遊魚で名高い魚も多い。それどころか時速100km以上と言われるマグロ類などは、スロージャークによるヒット率の方が高いくらいだ。また、パヤオや流れ物に付いたシイラやカツオ、サワラ、前述のマグロ。ややプレッシャーの高い青物全般に、抜群の威力を発揮する。それは何故なのだろう?     
全てのルアーフィッシングには二種類のアクションがあると言っていいだろう。
「アピールするためのアクション」と「食わせるためのアクション」である(それらが一つにまとまる場合もあるが)。ジギングも例外ではない。スローアクションといっても、ただのんびりリールを巻いているだけでは成功しない。この二つのアクションを常にコントロールする必要がある。一番重要なのはいつの場合もアングラーの意識の問題だ。
順を追って具体的に話そう。まず、このアクションの最大のメリットの一つは「楽に釣れる」ことだから、
姿勢をまず自然体に保とう。背をのばし、足を自然に広げ、腕の角度も無理をしないようにする。そして自分が最も楽なリズムでしゃくれるスピードをまず把握する。これを覚えたら第一段階は完成。しかし問題はその後だ。
この場合、一定のスピードでゆったりとリトリーブするわけだから、魚にプレッシャーを与えてしまう事も考えられる。つまりスローであるが故、魚にジグが餌ではないと見破られてしまう可能性があるという
ことだ。まずこの事を頭に入れておく。しかし逆もまた真なりで、ゆっくり動くからこそアピール度は高いとも言える。広範囲に「そこにジグがある」ことを知らしめる事が出来るのだ。これを利用して魚に興味を持たせる。
そして一工夫を加えよう。食わせるためのアクションを実践する。適当な間隔で巻き上げたジグを、すうっと沈めるような気持ちでティップを送り込んで(事務局注:同テクニカルノート「私流ロングジグについて」参照)やる。沈める幅は各々アングラーの感覚によるところが大きいが、この沈め幅と巻き上げ速度の微妙な変化により、スローアクションでも無数の
バリエーションが可能となる。この動きを意識できるようになれば、既に第二段階に進化したのも同然だ。
ジギングのターゲットとなる多くの魚は、巻き上げるジグよりも、沈むジグに対して鋭い反応を示す。
これは弱ったベイトに見えるからとか、落ちるジグの方が自然な動きをするからとか諸説があるが、実際そういうシーンに出会うことは多い。前述のマグロ類などは顕著に沈むジグに反応が良い。
ゆっくりとした巻き上げ動作の中に、頻繁に沈み幅を持たせたアクションが、半信半疑でジグを追ってきたターゲットに「食う決断」を促すことになるのだろう。仲間内ではティップを送り込んで沈め幅を持たせることを「ステイ&ジャーク」と呼んでいる。早い話食うきっかけをワンキャストでたくさん持たせるためのテクニックだが、この際「ステイ」というように、ただの「ストップ」ではなくてヒットを「待つ」くらいの意識を持って沈め幅を作ってやる。スローで引くからこそバイトのきっかけは多くなり、これが時として抜群に効く。これで第三段階の免許皆伝だ(早いな…)
勿論、このアクションが全てのシーンに有効ではあり得ない。一つのアクションで全ての状況をカバーできるほどジギングは甘くない。あくまでもバリエーションの一つとして考えて欲しい。あくまで一端だ。

ただ、ジギングとしては非常に楽なメソッドで、魚種や状況によっては非常に良く釣れるアクションなので覚えておいて損は無い。自然体で釣れるから女性や年配の方でも出来るし、タックルも人間も
故障が少ない。
さらに腰を伸ばした(楽な姿勢をとって)状態での、長時間無理のない有酸素運動なので、ハードな運動をした場合より、ダイエット効果も期待できるそうな(ほんまかいな?)。いやいや、これは某有名エステシャンの言葉だから少しは信憑性があるかも…。ただし両腕をバランスよく使うのが条件らしい。
もう一つ面白い説を紹介すると、ターゲット自体が高速回遊魚でも、ベイトとなる魚の速度がそれほど速くない、という説がある。「速くない」わけでは無いだろうが、イワシやイカナゴ等のベイトとなる
小魚の多くは、瞬間に長い距離を逃げないものだ。これは群れが大きいほどそうだ。実際の映像を見ても、自らの群れの外にまでは決して逃げようとしない。むしろ近くにいる仲間の中に隠れようとする。
この事実からあまり長い距離を高速で動かさないでも、ターゲットは捕食の意思を損なわないというのだ。
これは種子島でキハダやカンパチの飲ませ釣りをしている漁師さんの話だ。彼はアジとジグを使い分け(手釣りのスローアクションで)NO.1の水揚げを誇っている。これが本当ならスロージャークにはもっと
深い可能性があるといえるだろう。

実際の釣果も期待できてその他のメリットも多い。
貴方のバリエーションの引き出しに一つ新しいメソッドとして加えておいて欲しい。ひょっとしたら困ったときの解決策になるかも…ですよ。

池ひろと

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